日本では高齢化が進み、多くの人が親の介護と仕事の両立に悩んでいます。
仕事を続けながら親の介護をするのは、精神的にも肉体的にも大きな負担となるため、やむを得ず退職を選択する人も少なくありません。私もその一人でした。
親の介護はある日突然必要になることが多く、準備が整わないまま日常生活が一変するケースがほとんどです。
私の場合も、母が病気で倒れ、要介護3の認定を受けたことで、介護が日常の一部となりました。
仕事を続けながら対応しようとしましたが、通院や食事の準備、排泄の介助など、思った以上に時間と体力が必要になり、最終的には退職を決断しました。
しかし、退職した後に直面したのは、生活費の問題でした。
介護にはお金がかかりますし、収入が途絶えると経済的な不安が一気に増します。
「退職したら失業保険はもらえるのか?」「自己都合退職になると給付までの期間が長くなるのでは?」といった疑問が次々に湧いてきました。
実際には、介護を理由に退職した場合でも、条件を満たせば失業保険を受給することができます。
ただし、申請方法や退職理由によって受給のタイミングや給付期間が変わるため、事前にしっかりと知識を持っておくことが重要です。
この記事では、私の経験をもとに、親の介護を理由に退職した場合の失業保険の受給条件や適切な退職理由について詳しく説明します。
これから介護離職を検討している方にとって、少しでも役立つ情報になれば幸いです。
介護と仕事の両立は難しい
介護は突然始まることが多く、準備期間がほとんどないまま対応しなければなりません。
私の母も、ある日突然倒れ、要介護3の認定を受けました。
それまでフルタイムで働いていた私は、母の通院付き添いや食事介助、排泄ケアなどに追われる日々となりました。
介護サービスの利用も考えましたが、
- 施設に入れるのは順番待ちで数ヶ月待ち
- デイサービスも希望の日に空きがない
- ヘルパーさんの訪問時間では対応しきれない
といった問題があり、結局、私が仕事を辞めて介護に専念する決断をしました。
しかし、退職後の生活費をどうするかという問題がありました。
そんなときに知ったのが「失業保険(雇用保険の基本手当)」の制度でした。
介護離職でも失業保険はもらえる?
結論から言うと、介護を理由に退職した場合でも失業保険を受給することは可能です。
ただし、申請方法や退職理由によって、給付開始時期が異なります。
1. 自己都合退職と会社都合退職の違い
退職には「自己都合退職」と「会社都合退職」があり、基本的に介護を理由に退職する場合は「自己都合退職」に分類されます。
項目 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
---|---|---|
給付開始時期 | 退職後2ヶ月(※特定理由離職者なら待機期間7日) | 退職後7日(待機期間) |
給付日数 | 90~150日 | 90~330日 |
会社都合退職の方が手厚いですが、介護離職の場合でも「特定理由離職者」に該当すれば、待機期間が7日となり、通常の自己都合退職より早く給付を受けることができます。
2. 特定理由離職者とは?
特定理由離職者とは、やむを得ない事情で自己都合退職をした人を指します。
介護が理由の場合、以下の条件を満たすと「特定理由離職者」として認定されます。
- 家族の介護が必要な状態になったことを証明できる(要介護認定書、医師の診断書など)
- 介護のために勤務を継続することが困難だったことを示せる(会社の就業規則、シフト変更ができなかった証拠など)
この条件を満たせば、自己都合退職であっても、待機期間が7日で済み、早く失業保険を受給できます。
退職理由の伝え方
退職時に会社へ伝える退職理由の言い方も重要です。
「一身上の都合」とするのが一般的ですが、失業保険の申請時には「介護のため」と具体的に伝えたほうが良いです。
会社への伝え方
- 「親の介護が必要となり、仕事を続けることが難しくなったため退職します。」
- 「介護と仕事の両立ができず、やむを得ず退職することにしました。」
ハローワークへの伝え方
- 「親の介護のために退職しました。」
- 「介護サービスを利用できず、私が対応する必要があったため退職しました。」
このように具体的に伝えることで、「特定理由離職者」として認定されやすくなります。
失業保険の申請方法
退職後、以下の流れで申請を進めます。
- 会社から離職票をもらう
- ハローワークに行く(持ち物:離職票、身分証明書、マイナンバー、通帳など)
- 求職活動の登録をする
- 失業保険の申請をする
- 待機期間(7日または2ヶ月)
- 失業認定を受け、失業保険が支給される
このプロセスをスムーズに進めるためにも、離職票に適切な退職理由が記載されているかを確認することが重要です。
介護離職後の選択肢
介護のために退職したものの、介護はいつまで続くかわかりません。
今後の選択肢として、以下のような方法も検討できます。
- 在宅ワークやパート勤務
- 介護の合間にできる仕事を探す
- フリーランスやリモートワークを活用する
- 介護サービスをフル活用する
- 介護保険サービスを最大限利用し、再就職を目指す
- ショートステイやデイサービスの活用
- 介護休業制度の活用
- 会社によっては「介護休業制度」があるので、すぐに退職せずに一時的に休業することも選択肢
親の介護で働けない。退職したとき失業保険はもらえる?退職理由は?まとめ
親の介護が理由で退職しても、適切に手続きをすれば失業保険を受け取ることができます。
特に「特定理由離職者」として認定されると、早めに給付を受けることが可能です。
退職前に、
- 介護の状況を証明する書類を準備する
- 会社の就業規則を確認する
- ハローワークで相談する
といった準備をしておくとスムーズに進みます。
介護は大変ですが、支援制度を活用しながら少しでも負担を軽くしていきましょう。
この記事が、同じような状況の方の参考になれば幸いです。